今回紹介させていただく症例は70代の女性で、30年以上通っていただいている患者様です。ケアに来ていただいた時にこんな話を頂いたのです。
左上に両側にまたがる部分入れ歯を入れているが、最近になって部分入れ歯が緩くなったり、食事の時に入れ歯が動いてしまって食事しにくくなってきたので、どうにかならないでしょうかとのお話を頂きました。
どんなに上手い技工士さんが作っても、患者様にとって部分入れ歯は難しいものです。
部分入れ歯の隣には30年ほど前に入れたとおっしゃる保険の前装冠のブリッジが入っていましたが、マージンがずれてきていたり、際のところに虫歯ができていたり、表面のレジンも剥がれてきている状態でした。長年使っているため仕方がないのかもしれませんね。審美的にもいいとは言えないものでした。
大きなケースになってくると、よりしっかりとお話をして治療方針を決定していかねばなりません。じっくりと話をして、こちらからいくつかの治療計画を提案していく中で、今回は大きいお金を使うようになるが、この前装冠のやり替えと部分入れ歯の撤廃を同時にできる、ロングスパンのハイブリットブリッジにすることになりました。
支台歯は生活歯と失活歯どちらもありますが、装着後にしみてきたり、痛みが出たりするトラブルを回避すべく、支台歯側にはハイブリットコートという強いしみ止めを使いました。前歯部のマージンも表面麻酔、浸潤麻酔両方を使って、歯肉縁下の深い位置まで形成することを心掛けて形成しました。できてくるブリッジのシェードは、隣の天然歯にできる限り調和するものを選びました。
治療前と治療後の写真を2枚づつ示します。いい感じに仕上がりました。患者様はその後のケアにも来ていただきましたが、その時には満面の笑みでした。
治療前の2枚
治療後の2枚
このような少数歯欠損の補綴では、延長ダミーを用いることで部分入れ歯の撤廃が可能になる症例もあります。(インプラント治療を考える場合は別です。)
やっぱり固定式の補綴は人気があり、すごくいいみたいです。